アナログの文房具とデジタルツール

 約8割の人がデジタル化が進むと、最も影響を受ける文房具は「紙製品」と回答――これは、文房具屋さんドットコムが実施した、「スマートフォンなど多機能端末の普及による文房具への影響」に関するアンケート調査の結果。ただ、一方でほぼ同じ割合で、多機能端末が普及してもアナログの文房具とデジタルツールは「共存できる」と回答しています。

2014年の調査結果は→こちら

2012年の調査結果は→こちら

 

 

 アンケート調査は、2013年6月1日から30日までの1カ月間実施、有効回答数は1141件でした。

 アンケート調査の内容は、@従来型の携帯電話かスマートフォン、どちらを使用されていますか?Aスマートフォンやタブレット端末などの普及により、コミュニケーションや記録ツールなどデジタル環境が変化していますが、その対極にあるアナログの文房具は、デジタルツールと共存できると思いますか?Bデジタル化が進んで、最も影響を受ける文房具はどれと思いますか?Cスケジュール管理に携帯電話やスマートフォンを活用されていますか?Dデジタル化が進展する中にあっての、文房具についての意見…などを聞きました。

 その結果、@については、半数以上の51.6%が従来型の携帯電話を使用しているが、前年の調査に比べ9.8ポイント減少、逆にスマートフォンを使用している人は前年より14・8ポイント増えて、38.4%となり、スマートフォンの利用者が増えています。

 因みに、(社)電子情報技術産業協会及び(社)情報通信ネットワーク産業協会が調査、発表している統計資料によると、2013年6月の移動式電話国内出荷台数のうち、スマートフォンの比率が72.7となっており、また、昨年一年間のスマートフォン出荷比率も56.3%となっています。

 Aについては、「共存できる」と回答した人が昨年より2.4ポイント減少したものの74.9%となり、ほとんどの人が共存できると思っています。

 Bのデジタル化が進んで最も影響を受けると思われる文房具では、昨年同様にダイアリー・手帳と回答した人が最も多く29.4%、次いで28.4%の便箋・封筒、18.7%のノート・メモ、10.7%の筆記具の順で、上位1〜3位までの紙製品だけで全体の76.5%を占め、昨年とほぼ同じ結果となっています。

 また、スケジュール管理に携帯電話やスマートフォンの活用については、「していない」という人が昨年より5.9ポイント増の64.2%となりましたが、これを携帯電話を使用している人とスマートフォンの人に分けて見てみると、携帯電話では「していない」と回答した人の76.5%に対して、スマートフォンでは逆に「している」人が51.2%、「していない」人が48.8%という結果で、今後、スマートフォンがさらに普及していく傾向の中にあって、スケジュール管理もデジタル派が増えていきそうです。

 以下で、今回のアンケート調査で寄せられたユーザーの声を紹介します。

■みんなの声■

 ◆漢字が出てこない
 文字を書くことが確実に減ってきています。いざ書こうとしても漢字が出てこなかったりして焦る時もあります。キーボードばかりでなく、字を書くことを意識して行かないと、そのうち本当に書けなくなりそうで心配になります。神奈川県・会社員・男・40歳

 ◆文具選びが楽しい
 持っているデジタルなものはパソコンぐらいのアナログ派です。文具選びが楽しいです。デジタルに触れる時間が長いと疲れるのは、みんな同じだと思うので、文具が衰退していくことはないと思います。沖縄県・会社員・女・38歳

 ◆手書きの温かみ
 使う頻度は減りましたが、その中でもやはり手書きの文字の温かみはとてもうれしいもの。今後も、鉛筆やペンと紙という組み合わせはずっと使い続けたいですね。岡山県・主婦・40歳

 ◆刻々と進化してるのが好き
 文房具は素敵なものがたくさんあります。地味ですが、刻々と進化してるのが好きです。山形県・会社員・女・31歳

 ◆ノートに戻る
 ノートはアイデア帳やメモに使っていて欠かせない存在です。以前はスマートフォンで代用していましたが、ノートの方が自由度が高いのでノートに戻りました。福岡県・パート・男・28歳

 ◆手紙は万年筆で
 アナログの文具はいいですね。自分もPCで仕事はしますが、手紙は万年筆を使いますよ。栃木県・会社員・男・54歳

 ◆「自分の筆跡」は完全オリジナル
 あまりにもデジタルが当たり前になりすぎて、逆に昔ながらの文房具の良さが際立っているし、文房具を使って文字を書きたくなります。幼いころからコンピューターにふれる子供たちも同じじゃないでしょうか。自分の手で書く喜びは何物にも代えがたいですし、「自分の筆跡」は完全オリジナルなので、「筆跡」に注目した文房具を開発すれば、注目度がさらにあがるのではないでしょうか。千葉県・会社員・女・38歳

 ◆考えをまとめるには手書き
 デジタルもよいが、考え事をしながら考えをまとめていくには手書きの文房具がよい。神奈川県・会社員・男・34歳

 ◆使用頻度は減ったが文房具好き
 文房具の使用頻度は減りましたが、文房具が好きな気持ちは変わりません。文房具屋にはついつい寄ってしまいますし、ついつい新商品を購入してしまいます。そういう方は結構身近に多いです。東京都・会社員・女・36歳

 ◆文房具は必需品
 子供がいるので文房具は必需品。やっぱりかわいい物がいい。千葉県・パート・女・31歳

 ◆文房具には文房具の良さが
 電気がなくなったり,プログラムがおかしくなったりすると、電化製品は一気にだめになる。文房具は文房具の良さがあると思う。大分県・主婦・33歳

 ◆文房具の流行についていくのは大変
 文房具の流行についていくのは大変です。先日、プライバシースタンプをやっと購入しました。子供会の役員をやっていた頃は、シュレッダーを使っていましたが、名簿を扱わなくなり、場所をとるシュレッダーは処分しました。しかし、昔ながらの文房具も中々、良いですね。母のお使いで買いに行ったのは墨液でした。文房具は、歴史あり、浪漫ありで大好きです。熊本県・主婦・47歳

 ◆子どもには文具の温かみを感じて育って欲しい
 アナログ文具にはデジタルツールにはない魅力があります。アナログ文具時代に育った私は、子供がデジタルツールを使うのは無条件に認めることに抵抗があります。この先、避けては通れないものにはなるのかも知れませんが、子供には出来るだけ、アナログ文具の温かみや丁寧さを感じて育って欲しいと思います。広島県・専門職・女・30歳

 ◆電子化も万能ではない
 文書などを電子化して保存することが多くなり、コピー用紙などの需要が小さくなるのではと思います。唯、電子化する前の「書いてまとめる段階」は依然として残るため、ペン類やメモ帳・ノートの類は消えることがないと思います。電子化も万能ではないのでスケジュール管理のバックアップとしての手帳も無くなることはないと思います。福岡県・主婦・30歳

 ◆スマホも咄嗟の時は便利
 文房具は趣味の範囲で好きなので、どんなにデジタル化が進もうと文房具は買い続けます。しかし、やはりいつでも手にしているスマホなどの方が、データを消去しない限り半永久的に残るし、咄嗟のメモの時など便利です。宮崎県・パート・女・24歳

 ◆文房具屋さんに行く事も殆どない
 「書く」という事がここ数年かなり少なくなったと感じます。同時に、文房具屋さんに行く事も殆どありません。必要な文具もスーパーの狭いスペースで購入できるので、最新の文具事情も知りません。まずは文房具屋さんに足を運びたくなる工夫が必要だと感じます。滋賀県・会社員・女・29歳

 ◆新しいニーズを生むことも必要
 文房具は、なくならい。ただ、ニーズに合わせた工夫が必要。あるいは、新しいニーズを生むことも必要。沖縄県・会社員・男・40歳

 ◆従来のアナログ文具の姿をしたデジタル文具
 デジタルを補完する使い方と、共存する使い方、アナログでなければ出来ないものなどをシェアできることが文房具のテーマだと思います。SF的には従来のアナログ文具の姿をしたデジタル文具が一番良いと思います。超薄型電子ペーパーを使用した、くるくる巻いて保存できるメモシート、それをスマホやタブレットに転送したり、直接メールできる電子ペンなどはもう実現できている時代なのですから…。山口県・公務員・男・53歳

 ◆少しリッチな文房具を持って長く使う
 文房具を買う機会があきらかに減ってきたので、買う時は、価格よりも機能とデザインを重視し、少し高くても買うようになりました。少しリッチな文房具を持って長く使いたいです。鹿児島県・教職員・女・29歳

 ◆筆記具は高価な物は必要ない
 スマホで記録が残せるので、筆記具は高価な物は必要ありません。趣味で集めるキャラクター物の文具は、人気が続くと思います。福島県・会社員・女・27歳

 ◆棲み分けが進んで
 棲み分けが進んでいくだろう。アナログの文房具は個性的なものが増え、使って楽しい。デジタル化されたものは確かに必要ではあろうが、無味乾燥であり単なるツールでしかない。熊本県・自営業・男・58歳

 ◆字の綺麗さがブームで毎日練習
 最近字の綺麗さがブームになっていますが、私も字が綺麗になりたいので毎日練習を欠かさないようにしています。沖縄県・会社員・男・40歳

 ◆昔から手帳は手作り
 昔から手帳は手作りです。表紙、インデックス、付箋、シール。どれを買うか毎年楽しみにしているので、書き込むペン選びも毎年楽しみです。子供が生まれて、やはりはじめに親しむのはデジタルなお絵かきでなくて、アナログな文房具に触れて学ぶ必要があると思います。大阪府・専門職・女・28歳

 ◆筆記具は鉛筆、削りは手動
 デジタル化が進んでも、その進み方についていけない世代が生じていくと思われます。その世代は従来の使い慣れたアナログに戻ると思うので文房具は必要だと思います。なお、私も筆記具は鉛筆を使用し、鉛筆削り機も手動のダックスを使用しています。これで十分です。和歌山県・男・61歳

 ◆新製品に期待
 文房具は大好きです。子供の頃は消しゴムやレターセットを集めていたので、衰退しても欲しがる人は絶対にいると思います。ノートに自分の手で書くことも大切ですし、脳のトレーニングには必要です。事務の仕事をしているので、便利な針なしホッチキスとかには驚きました。新製品に期待しています。神奈川県・会社員・女・40歳 

←声のトップへ